館内のサイン計画の進め方|フロアガイド・館内マップと避難経路図をデザインから作る手順と費用

経路図サイン

館内のサインを新しく作るとき、作り直すときは、看板を1枚ずつデザインするところから始めません。今あるサインを書き出し、入口から行き先まで歩いて迷う所を探し、どこに・何のサインを置くかを平面図に書き込んだ「サイン配置図」と一覧の「サインリスト」を作り、言葉・図記号・色・外国語のルールを決めてから、デザインと製作に進みます。フロアガイド(館内マップ)と避難経路図は、同じ平面図から「もとになる館内図」を1枚描き起こしておくと、各階の案内、掲示する場所ごとの避難経路図、受付で渡すリーフレットに使い回せます。

避難経路図は、旅館・ホテルの客室などへの掲示を市町村の火災予防条例で決めている例があり(東京都・広島市など)、名古屋市のように百貨店・病院・劇場・地下街まで対象にする市もあります。費用は、フロア図(地図)の作製が15,000円(サインシティのデザイン制作費用・税抜)、フロア案内のアルミ複合板600×450mmが7,480円〜(製作のみ・税込)といった金額から組み立てます(2026年10月26日時点)。CUVIC大阪は、避難経路図から各階のフロアガイド、誘導サイン、室名札・ピクトまで、デザインから製作・取り付けまでご相談いただけます。

やりたいこと 最初にやること
館内のサインを
全部作り直したい
改装・開業・名前の変更のときは、今のサインを写真で書き出し、平面図を用意して、サイン計画(配置図とサインリスト)から始める
フロアガイド・
館内マップを作りたい
平面図(CAD・PDF・紙の図面の写真)と、載せる部屋・テナント・設備の一覧を用意する
避難経路図を
作りたい・直したい
消防計画の避難経路と、避難階段・避難器具・消火器・屋内消火栓の位置、掲示したい場所の一覧を確かめる。宿泊施設などは条例で記載事項が決まっている
外国からの
来館者が増えた
1つの場所に1つの呼び名をそろえてから、英語などの対訳表を作る
一部だけ
直したい
部署やテナントが替わった所は、今のサインの写真と寸法から、同じ仕様で替わる部分だけ作る
置くだけの
案内で足りる
トイレのピクトや置き型の案内サインは既製品でそろう

※サイン計画は、施設ごとに規模も中身も違います。この記事では、公的な資料で確かめられることと、施設ごとに決めることを分けて書いています。

館内のサイン計画とは:サインを1枚ずつではなく、人が歩く順につなげて決めること

サイン計画の流れと、それぞれで作るもの作るもの1調べる今あるサインを写真と一覧にし、入口から行き先まで歩いてみる・今のサインの一覧・迷う所の印2配置を決めるどこに・何のサインを置くかを平面図に書き込む・サイン配置図・サインリスト3ルールを決める言葉・図記号・色・書体・外国語の書き方をそろえる・表記のルール・対訳表4デザインする種類ごとのデザインと、館内マップ・避難経路図の原稿・デザイン図・地図の原稿5作る・付ける原寸で確かめてから製作し、営業時間外などに取り付ける・完成したサイン・取り付けの報告6使い続ける入れ替えや改装に合わせて必要な所だけ差し替える・差し替えの札・データの控え
デザインの前に「調べる」「配置を決める」「ルールを決める」を済ませると、作り直しが減る

サイン計画は、建物の中で人が迷わないように、どこに・どんなサインを・どんな言葉と図記号で置くかを、一度に決める作業です。国土交通省の官庁営繕部が国の庁舎向けにまとめた「建築設計基準の資料」は、目的地までの経路で、現在位置・目的地の位置・目的地までの経路が逐次確認でき、目的地に着いたことも確認できるようにサインを置く、というのが基本の考え方です。入口の案内板で行き先を確かめ、分かれ道の誘導サインで向きを選び、扉の横の室名札で着いたことを知る、という一続きの流れのどこかが抜けると、人はそこで立ち止まります。

新しく建てる建物では、設計者やサイン会社が設計の段階でサイン計画を立てることがあります。今ある建物を改装したり、テナントや部署の配置を変えたりして作り直すときは、施設の担当者がサイン会社と一緒に進めます。そのとき手元に残るのが、上の図の「作るもの」です。サイン配置図とサインリストがあれば見積もりの抜けがなくなり、表記のルールがあれば、あとで1枚だけ足すときも同じ見た目で作れます。

種類 役割
案内
館内図・フロアガイド
建物や階の全体と、現在地を示す
誘導
矢印
行き先の方向を示す。分かれ道・曲がり角・階段の上り口などに
位置
室名札・トイレ
そこが何の場所かを示す
規制
注意・禁止
してはいけないこと・気をつけることを示す
避難経路図 火事などのときの逃げ道と、消火器などの位置を示す
階数表示 いま何階にいるかを示す。階段の中では避難の目印にもなる

※国土交通省の旅客施設のガイドラインは、サインを誘導・位置・案内・規制の4種に分け、動線に沿って配置するとしています。避難経路図と階数表示は、この記事で別に挙げたものです。

デザインからご相談いただける館内サインの例

CUVIC大阪では、看板だけでなく、館内の案内サインやポスターなどの屋内サインも、デザインの制作からお受けしています。避難経路図や各階のフロアガイドのように地図を描き起こすものから、室名札1枚の作り直しまで、次のようなサインをご相談いただけます。

オフィスビルの明るいエントランスロビーに、各階の案内と館内の図が入った自立式の総合案内板が立っている様子

1. 総合案内(エントランス)

入口・ロビー

建物全体を階ごとに見せ、現在地を示す案内です。自立型・壁付けのほか、液晶の画面と組み合わせることもあります。

エレベーターホールの壁に、その階の平面図と赤い三角の現在地、テナント名の一覧が入ったフロアガイドが付いている様子

2. 各階のフロアガイド

エレベーターを降りた正面

その階の平面図と、部屋やテナントの一覧を載せます。入れ替わる名前の部分は、札を差し替えられる作りにできます。

ホテルの客室の扉の内側に、緑の矢印で避難経路を示した避難経路図が額に入って貼られている様子

3. 避難経路図

廊下・階段の前・客室の扉の内側

現在地から2方向の逃げ道と、消火器などの位置を示します。消防計画の避難経路と食い違わないように描きます。

病院の明るい廊下の天井から、トイレ・エレベーター・受付の矢印が入った両面の誘導サインが下がっている様子

4. 吊り下げの誘導サイン

通路の分かれ道

行き先の名前・図記号・矢印を、どちらから来ても読めるよう両面で作ります。天井の高さと下地を見て吊り方を決めます。

オフィスの廊下の扉の横に、部屋番号と会議室名の入ったアクリルの室名札と、トイレのピクトサインが並んでいる様子

5. 室名札・トイレのピクト

扉の横

部屋番号と名前、トイレや更衣室の図記号です。部署の移動が多い部屋は、名前だけ差し替えられる札にします。

ビルの階段の踊り場の壁に、遠くから読める大きな「3F」の階数表示が付いている様子

6. 階数表示

階段の踊り場・エレベーターの前

遠くから読める大きな数字で、いま何階にいるかを示します。階段の中では、避難のときの目印にもなります。

病院の待合ロビーの床に、色分けされた誘導の線と矢印のシートが貼られている様子

7. 床の誘導サイン

病院・工場・倉庫の床

色の線と矢印で行き先まで導きます。人や台車の通る量に合った、滑りにくい床用のシートで作ります。

オフィスの会議室のガラスの仕切りに、すりガラス調のシートの帯と部屋名の文字が貼られている様子

8. ガラス面のサイン

入口のガラス・会議室の仕切り

社名や営業時間の表示、ぶつかるのを防ぐ帯、すりガラス調の目隠しなどを、シートで作って貼ります。

ビルの入口の石張りの壁に、ステンレスの切り文字で架空のビル名が付いている様子

9. 館銘板・入口の切り文字

建物の入口

建物の名前やロゴを出すサインです。ステンレスや真ちゅうの銘板、切り文字など、長く使える作りにします。

商業施設のバックヤードの扉に「関係者以外立入禁止」のプレートが付いている様子

10. 注意・規制のサイン

倉庫・機械室・バックヤード

関係者以外立入禁止・禁煙・足元注意などの表示です。館内のほかのサインと書体や色をそろえて作れます。

※画像はイメージです(建物名・部屋名はすべて架空)。

平面図や今のサインの写真があれば、どこから手を付けるかを一緒に決められます

館内サインをデザインから相談する(無料見積もり)›LINEで今のサインの写真を送る›

進め方①:今のサインを書き出し、迷う所を歩いて探す

最初に、館内にあるサインを全部、写真に撮って一覧にします。撮った写真を平面図に番号で書き込むと、同じ場所の呼び名がサインごとに違う、移った部署の名前が残っている、といったことが一目で見えます。続けて、来館者になったつもりで、入口からトイレ・受付・会議室・エレベーターまで歩きます。迷いやすいのは、エレベーターを降りた所、通路の分かれ道、階段を出た所、建物の古い棟と新しい棟のつなぎ目です。

  • 同じ場所の呼び名が、サインごとに違っていないか(トイレ・お手洗い・化粧室、Restroom・Toilet など)
  • 移った部署・閉じた店・使わなくなった部屋の名前が残っていないか
  • エレベーターを降りた所、通路の分かれ道、階段の出口、建物のつなぎ目で、次の行き先が見えるか
  • 似た扉が並ぶ廊下で、部屋の番号と名前が読めるか
  • 貼り紙で足した案内がないか(そこがサインの足りない所)
  • 夜間・休日だけ使う出入口や、車椅子で通る経路の案内があるか
  • 誘導灯・消火器・スプリンクラーのヘッドを、サインがふさいでいないか
病院の明るい廊下で、施設の担当者とサイン会社の担当者が平面図を広げ、分かれ道のサインの位置を指さして確かめている様子
入口から行き先まで実際に歩き、迷う所に印を付ける(画像はイメージ)

貼り紙で足した案内は、サインが足りない場所を教えてくれる目印です。受付でよく聞かれる場所(トイレ、喫煙所、AED、授乳室、駐車場への出口など)も、施設の人に聞いて書き出しておきます。

進め方②:サイン配置図とサインリストを作る

EV301302男子女子階段B階段A303304305倉庫A-1E-1B-1B-2CCCCCCCD-1E-2FFFサイン配置図とサインリスト(例)平面図にサインの記号を書き込み、同じ記号で一覧にする記号種類置く場所数Aフロアガイドエレベーターの前の壁1B吊り下げの誘導(両面)廊下の分かれ道2C室名札・トイレのサイン各扉の横7D関係者以外立入禁止倉庫の扉1E避難経路図エレベーターの前・階段の前2F階数表示階段・エレベーター3
サインリストには、表示する言葉・大きさ・素材・取り付け方も書き足していく(部屋番号は架空)

調べた結果をもとに、平面図にサインの記号を書き込みます。記号は種類ごとの頭文字と番号(A-1、B-1…)にしておき、同じ記号でサインリストを作ります。リストには、記号・種類・置く場所のほか、表示する言葉(日本語と外国語)、図記号、大きさ、素材、取り付け方(壁・天井・自立・床)、片面か両面か、数を書きます。国土交通省の旅客施設のガイドラインは、誘導・位置・案内・規制の4種のサインを動線に沿って配置し、経路を示す誘導サインは必要な情報が連続して得られるように置く、という考え方です。配置図の上で、入口から行き先までの線をたどり、途中でサインがとぎれていないかを確かめます。

天井から吊るすサインは、天井の高さと下地、スプリンクラーのヘッドや誘導灯の位置も配置図に書き込みます。消防法施行規則では、標準型のスプリンクラーヘッドの下0.45m以内かつ横0.3m以内には何も設けたり置いたりしないこと(第13条の2)、誘導灯・誘導標識の周りに、まぎらわしい、またはさえぎる広告物・掲示物などを設けないこと(第28条の3)が決まっています。自立型の案内板やスタンドは、廊下・階段・避難口の避難の支障にならない場所に置きます(消防法第8条の2の4)。

進め方③:言葉・図記号・色・外国語のルールを先に決める

デザインに入る前に、館内で使う言葉と見た目のルールを決めます。案内板では「お手洗い」、誘導サインでは「トイレ」、英語は「Restroom」と「Toilet」が混ざる、といったゆれがあると、来館者は別の場所だと受け取ります。ルールは、デザインのたびに迷わないよう、表にして残します。

決めること 決め方の例
呼び名 1つの場所に1つの呼び名。案内板・誘導サイン・室名札・避難経路図で同じ言葉を使う
部屋番号・
エリア名
階+番号(301、302…)、エリアはA・Bや色の名前など、館内で1つの決め方にする
図記号 トイレ・エレベーターなどはJIS Z 8210の案内用図記号で。標準の図記号がないものは文字で表示する
外国語 日本語と英語を基本に、来館者に合わせて中国語・韓国語を足す。東京都の指針は日・英2言語とピクトグラムが基本で、まちなかの観光案内の地図は、地図面を日・英、凡例を日・英・中・韓の4言語にしている
色分け 階やエリアを色で分けるなら、文字・模様・線の種類も併せて、色がなくても分かるようにする
文字の
大きさ
国の庁舎の標準は、各階案内板のタイトル50mm以上、室名札25〜40mm、独立したサインの図記号200mm角以上
高さ 近くで見るサインは中心を床から130〜140cm程度、吊り下げのサインは下端を210cm程度以上(国の庁舎の標準)

※国土交通省 大臣官房官庁営繕部「建築設計基準の資料」(令和7年改定)、東京都「国内外旅行者のためのわかりやすい案内サイン標準化指針」(平成27年2月改定)から。文字の大きさと高さは国の庁舎向けの標準で、民間の建物に義務づけたものではありません。

色で階やエリアを分けると見つけやすくなりますが、色の区別がつきにくい人もいます。日本眼科医会によると、先天色覚異常は日本人の男性の約5%、女性の約0.2%です。「建築設計基準の資料」も、色による識別を使う場合は、文字の併記や模様・線の種類の違いを併せて、色なしでも理解できるよう配慮する、とあります。外国語は、全部の文字を多言語にすると1つの文字が小さくなります。見出しと凡例、設備の名前を多言語にし、部屋やテナントの名前は日本語と英語にする、といった分け方をします。

書体・配色・文字の大きさの考え方は看板デザインの作り方とコツ、トイレの図記号の選び方はトイレのサイン・ピクトサインの選び方の記事で扱いました。

フロアガイド(館内マップ)の作り方:平面図から描き起こす

平面図から館内マップを描き起こす① もとの平面図設計図には、壁の厚み・柱・扉の開き方・家具・寸法まで描いてある。このままでは来館者は読みにくいEV301302WCSTST303304305② 通路と部屋だけにする細かい凹凸・扉・家具を消し、通れる所と部屋の形を残す。部屋は名前が入る大きさに301302303304305③ 色・図記号・現在地用途ごとに色を分け、設備は図記号で。現在地は赤の▲、図の上は見る人の正面に合わせる
館内マップは、設計図をそのまま縮めず、通れる所と部屋が分かる程度まで単純にする(部屋番号は架空、図記号は簡略化したイメージ)

館内マップは、建物の設計図をそのまま縮めて貼るものではありません。「建築設計基準の資料」が案内図の描き方として挙げているのは、平面は変形せずに単純化する、現在地を赤の▲で示して「現在位置」と併記する、人が通れない部分(壁・窓・手すりなど)はすべて実線にする、廊下と階段室はほかの部分と見分けやすくする、室名はその場所に入れる、トイレとエレベーターは案内用図記号で示す、階数を表示する、の7つです。

図の向きは、掲示する場所に立った人の正面を図の上にします。国土交通省の旅客施設のガイドラインは、構内案内図を、掲示する空間の左右と図の左右を合わせて表示するのが望ましいとしています。北を上にした設計図のまま貼ると、北を背にして見る壁では、右にあるトイレが図では左に描かれてしまいます。目の不自由な人が指で読む触知案内図のJIS(JIS T 0922)も、案内図に向き合ったときの正面が図の上になるように表示する決まりです。

もとになる図面は、CADのデータ、PDF、紙の図面の写真のどれでも描き起こせます。載せるのは、現在地と階数、エレベーター・エスカレーター・階段、トイレ(車椅子で使えるトイレ、おむつ交換台のある所)、受付・出入口、部屋やテナントの名前です。名前が多い階は、図に番号を振り、横に一覧を置くと図が詰まりません。

平面の図か、立体の図か

館内マップには、真上から見た平面の図と、斜め上から見た立体の図(俯瞰図)があります。平面の図は正確で、テナントの入れ替えのときも直しやすい描き方です。立体の図は、上下の階のつながりや階段の位置が伝わりやすく、日本デザイン学会の研究発表(2024年)でも、階段を立体で表現した図が、障害の有無にかかわらず主観的に分かりやすいことが示唆されました。その代わり、描く手間が増え、部屋の配置が変わったときの直しも大きくなります。各階のフロアガイドは平面の図、吹き抜けのある大きな施設の総合案内は立体の図、のように使い分けます。

形 置く場所と向く使い方
壁付け エレベーターの前・階段の近くに。その階の平面図と部屋の一覧
自立型 入口・ロビーに。建物全体の案内。置く場所を変えやすい
差し替え式 入れ替わる名前の部分を、札や面で差し替えられる作り
紙の
リーフレット
受付で渡す・配る。全部の階を1枚に載せる
液晶の画面 情報をこまめに替える大きな施設に。電源と配線の工事が要る

1枚の館内図を、ほかの用途にも使う

1枚の館内図から、用途ごとに作り分けるもとになる館内図平面図から描き起こす(1つの階に1枚)各階のフロアガイド部屋・テナントの名前と設備の図記号を入れる廊下・階段の避難経路図掲示する場所ごとに現在地と図の向きを変える客室・部屋の避難経路図その部屋から逃げ道までを小さい版にまとめる紙のリーフレット全部の階をまとめて受付で渡す・配る
もとになる館内図を先に作っておくと、避難経路図を掲示する場所が増えても、現在地と向きを変えるだけで作れる

避難経路図は、掲示する場所ごとに現在地と図の向きが変わります。廊下の両端と階段の前に掲示するなら、同じ階でも3通りの図が要ります。もとになる館内図を先に1枚作っておけば、場所ごとの図は現在地と向きを変えるだけで済み、改装で部屋が変わったときも、もとの図を直してから全部を作り直せます。受付で渡す紙のリーフレットも、同じ館内図から作れば、壁のフロアガイドと呼び名や色がそろいます。

打ち合わせの机の上に、館内マップの原稿を印刷した紙と色見本、原寸の室名札の試し刷りが並び、モニターに避難経路図のデザインが映っている様子
デザインの校正では、原寸の試し刷りで文字の大きさと色を確かめる(画像はイメージ)

避難経路図の作り方:載せるものと、掲示の決まり

避難経路図 3FEvacuation Route Map火事のときはエレベーターを使わない301302男子女子階段B階段A303304305倉庫EV現在地現在地(この図の位置)避難経路(2方向)避難階段・非常口消火器屋内消火栓火災報知機の押しボタンAED火事を知らせる方法:非常ベルと館内放送屋外の集合場所:建物の北側の駐車場作成:2026年10月 管理:○○ビル管理室 内線○○○
避難経路図の例(部屋番号・管理者は架空。図記号は簡略化したイメージ。経路の線の色は所轄の消防署の指導に合わせる。例:広島市の解説は赤色の線)

避難経路図は、火事などのときに、いる場所から屋外へ逃げる道と、消火器などの位置を示す図です。掲示が条例で決まっている市では、載せる事項も決めていることがあります。たとえば福山地区消防組合(福山市など)の火災予防規則は、避難施設・避難器具の設置位置、2方向の避難経路、宿泊者に対する火災の伝達方法、消火器・屋内消火栓の設置位置、その他避難に必要な事項を挙げ、大きさは設置場所に応じた大きさとしながら、だれが見ても現在地と避難経路がひと目で分かるものにするよう求めています。

避難経路図に載せるもの

  • 現在地(この図を掲示する場所)と階数
  • 避難経路(2方向)と、避難階段・避難口・避難器具の位置
  • 消火器・屋内消火栓の位置
  • 火事が起きたときの知らせ方(非常ベル・館内放送など)
  • 「火事のときはエレベーターを使わない」などの注意
  • 記号の凡例と、外国語の併記
  • 作った年月と、問い合わせ先(改装のときに古い図が残らないように)

※福山地区消防組合 火災予防規則 第30条(避難施設・避難器具の位置、2方向の避難経路、宿泊者への火災の伝達方法、消火器・屋内消火栓の位置、その他避難に必要な事項)、広島市火災予防条例の解説(避難上の留意事項としてエレベーターを使わないこと、英字などの併記が望ましいこと)、東京消防庁の用語集(外国語の併記と消火器の設置場所の表示を指導)から。作った年月と問い合わせ先は、こちらからの提案です。

避難経路図の掲示の決まり(確かめた例)

「避難経路図の掲示は消防法の義務」と書かれることがありますが、消防法と同施行令・同施行規則で確かめた範囲では、避難経路図そのものを掲示させる条文はありません。掲示を決めているのは主に市町村の火災予防条例で、対象は市ごとに違います。

建物 決まり
旅館・ホテル
の宿泊室
市町村の火災予防条例で掲示が決まっている。広島市の条例は「各宿泊室の見やすい場所に、当該宿泊室から屋外へ通じる避難経路を明示した避難経路図を掲出」とし、場所は扉の室内側か扉の近くの壁(同市の解説)。東京都も条例第52条で宿泊室への掲示を求めている(東京消防庁の用語集)
民泊
住宅宿泊事業
住宅宿泊事業法第6条で「避難経路の表示」が求められる。大阪市消防局は、宿泊の用に供する各室内の見やすい箇所に、避難口・避難器具の設置場所に至る避難経路図の掲出が必要と案内している(大阪市火災予防条例第52条)
百貨店・病院・
劇場・地下街
対象に入れる市がある。名古屋市(条例第64条の2)は劇場・百貨店(延べ面積1,000㎡以上の小売店舗を含む)・旅館・ホテル・宿泊所・病院・特殊浴場・地下街で、各室・廊下・待合所など。札幌市(第59条の2)は百貨店・旅館・ホテル・宿泊所・病院
事務所・工場・
学校・共同住宅
確かめた条例では掲示の対象に入っていない。ただし防火管理が要る建物は、消防計画に「避難通路、避難口…その他の避難施設の維持管理及びその案内に関すること」を定める(消防法施行規則第3条第1項第1号ニ)
職場の
避難用の出入口
ふだん使わない避難用の出入口・通路・避難用器具には、避難用である旨を表示する(労働安全衛生規則第549条)

※各市の火災予防条例・規則とその解説、住宅宿泊事業法、大阪市消防局「住宅宿泊事業に係る消防法令適合通知書交付申請の手引き」、消防法施行規則、労働安全衛生規則から(2026年10月26日時点)。火災予防条例は市町村ごとに対象と中身が違うので、作る前に所轄の消防署で確かめます。

描くときに気をつけること

避難経路は、消防計画で決めた経路と、実際の避難階段・避難器具・消防設備の位置に合わせて描きます。図面だけで描くと、改装で閉じた扉や、移した消火器が図に残ることがあるので、描いたあとに現地で一度たどって確かめます。避難の経路は、1つの経路が火や煙でふさがっても逃げられるよう、2方向を示します。経路の線の色は、たとえば広島市の解説が宿泊室から屋外までの経路を赤色の線で示すとしているので、所轄の消防署の指導に合わせます。国際規格にも、掲示する避難計画図のデザインの原則を定めたISO 23601(2020年版)があり、ISO 7010の安全標識を使って描く規格です。外国からの宿泊者が多い施設は、図記号と英語を併せて載せます。

停電で暗くなったときにも読めるよう、蓄光の素材で作る避難経路図もあります。ただし、消防法で付けることが決まっている誘導灯・誘導標識の代わりにはなりません。作った年月と問い合わせ先を図の下に入れておくと、改装のあとに古い図が残っていないかを確かめやすくなります。

避難経路図は平面図と消防設備の位置から描き起こせます。既製の蓄光標識はサインシティで

避難経路図の作成を相談する(CUVIC大阪)›避難口の蓄光標識(サインシティ)を見る›室内用の蓄光誘導テープ(サインシティ)を見る›

素材と作り方の選び方

館内サインの素材は、どれだけ長く使うか、どれだけ頻繁に書き換えるかで選びます。入れ替わりの多い場所に、文字を彫り込んだ金属の板を使うと、替えるたびに作り直しになります。

素材 向くサインと特徴
アクリル
透明板の裏に印刷
室名札・ピクト・小さめのフロアガイドや避難経路図に。表面が平らで拭きやすい
200×200mm・3mm 8,800円(CUVIC大阪・概算価格・税込)
アルミ複合板
インクジェット+ラミネート
フロア案内・注意表示・大きめの館内マップに。軽く、大きな板でも作れる
600×450mm 7,480円〜(キュービック東京・製作のみ・税込)
差し替え式
札・面・額
テナントや部署の入れ替えが多い所に。替わる部分の札だけを作る
大きさと段数で見積もり
ステンレス・
真ちゅう
館銘板・エントランスの切り文字・長く使う室名札に。エッチングや切り文字で
見積もり
カッティング
シート
ガラス面の文字・ぶつかり防止の帯・壁の大きな文字に
貼る面積と文字の数で見積もり
床用シート 床の誘導の線・矢印に。滑りにくい表面のものを、人や台車の通る量に合わせて選ぶ
蓄光シート 暗くなっても光る素材。避難経路図や階段の表示に。消防法で決まった誘導灯・誘導標識の代わりにはならない

※価格は2026年10月26日時点。CUVIC大阪「アクリル看板をデザインからオーダー製作!」、キュービック東京「オフィスサイン」から。大きさ・数・加工で変わります。

室名札の種類と高さは室名札・ドアプレートの種類とサイズ、入れ替えの多いテナントビルの案内板はエレベーター案内板の記事にもあります。置くだけで使える案内サインやピクトは、サインシティの既製品でそろいます。

費用の目安:デザイン・地図の作成・製作・取り付け

館内サインの費用は、デザイン(地図の描き起こしを含む)、サインの製作、取り付けの3つに分かれます。サインリストがあれば、それぞれを1行ずつ見積もれます。グループと他社が公開している金額は次のとおりです。

項目 料金の目安
案内板の
デザイン
5,500円〜(CUVIC「案内板におすすめな シンプルデザイン」、税の表記なし)、文字配列・簡単なデザイン 8,000円(サインシティ・税抜)
フロア図(地図)
の作成
15,000円(サインシティ「文字配列 地図(フロア図)作製」・税抜)
避難経路図の
データ(他社の例)
ココナラの出品:1枚だけなら3,000円、2枚以上は1枚2,000円(税抜)/有限会社Arts:もとの平面図1点12,000円〜(税別。掲示する場所ごとの図は別料金)
館内図の
デザイン(他社の例)
1フロア1枚20,000円〜(税の表記なし)
室名札・ピクト アクリル200×200mm 8,800円〜(製作のみ・税込)、既製品のピクトサイン770円〜(サインシティ・税込)
フロア案内の板 アルミ複合板600×450mm 7,480円〜(製作のみ・税込)
置くだけの
案内サイン
30,690円〜(サインシティ 案内サイン PHS-81・税込)
取り付け 施工費33,000円〜(CUVIC、税の表記なし)。現地調査は基本無料(高所作業車が要る場合や遠方は費用がかかる)

※2026年10月26日時点。CUVIC「看板工事の料金の目安について」「よくある質問」、サインシティ「デザインから依頼をされたい方」(「デザイン制作費用」として掲載)、キュービック東京「オフィスサイン」、他社の例は避難経路図のデータが有限会社Artsとココナラの出品、館内図のデザインがココナラの出品から。

避難経路図を何か所にも掲示する場合は、もとになる館内図を1枚描き、掲示する場所ごとに現在地と向きを変えた図を作る、という作り方の料金になっている例があります(他社の例では、もとの平面図1点の料金と、場所ごとの図の料金を分けています)。掲示する場所の数を先に数えておくと、見積もりが早く出せます。取り付けの費用の内訳は、サイン工事とはの記事でも取り上げました。

頼む流れと、用意しておく資料

  1. 資料を送る平面図、今のサインの写真、作りたいサインの種類と場所、使い始める日を送ります。避難経路図なら、消防計画の避難経路と消防設備の位置も。
  2. 打ち合わせと現地調査入口から行き先まで一緒に歩き、迷う所・取り付ける壁や天井の下地・電源の位置を確かめます。
  3. サイン配置図とサインリスト置く場所と種類・言葉・大きさ・素材・数を一覧にし、見積もりを出します。
  4. デザインと校正表記のルールを決め、フロアガイド・避難経路図の原稿とサインのデザインを作ります。原寸の試し刷りで、高さと読める距離を確かめます。
  5. 製作と取り付け製作して、営業時間外や休日などの決めた時間に取り付けます。入れ替えの多い所は、差し替えの札も用意します。
閉館後のオフィスビルのエレベーターホールで、作業員が壁に新しいフロアガイドの板を水平器で確かめながら取り付けている様子
取り付けは、営業時間外など決めた時間に行う(画像はイメージ)

相談のときに次の資料があると、配置図と見積もりが早く出せます。全部がそろっていなくても、平面図と今のサインの写真があれば始められます。

  • 平面図(CADのデータ・PDF・紙の図面の写真など。大きなデータの送り方はご相談を)
  • 今のサインの写真(どこに付いているかが分かるもの)
  • 部屋・テナント・部署の一覧と、決まっている呼び名
  • 避難経路図なら、消防計画の避難経路と、避難階段・避難器具・消火器・屋内消火栓の位置
  • ロゴ・色・書体の決まり(あれば)
  • 外国語の要否(英語だけか、中国語・韓国語も入れるか)
  • 使い始める日と、取り付けできる曜日・時間

商業施設やテナントビルで、施設の決まりや工事の区分がかかわる場合は、テナント看板・商業施設の看板の進め方の記事が参考になります。ビルの管理会社やオーナーの方の看板の施工(デザイン・取り付け・点検・撤去)は、グループのCUVICでも全国でお受けしています。

館内のサイン計画・避難経路図についてよくある質問

平面図がない建物でも、館内マップや避難経路図を作れますか?

竣工のときの図面、消防計画に付けた図、古い避難経路図、テナント募集の図面などがあれば、それをもとに描き起こせます。図面が何もない場合は、現地で寸法を測って描く方法もご相談いただけます。描き起こした館内図は、各階のフロアガイドと避難経路図のもとに使えます。

避難経路図は、消防署に見てもらってから作るべきですか?

宿泊施設や民泊のように条例で掲示が決まっている建物では、記載事項と掲示場所を所轄の消防署で確かめてから作ると、作り直しを防げます。民泊の場合、大阪市消防局の消防法令適合通知書の申請の手引きには、避難経路図の掲出が項目として挙がっています。

英語以外の言語も入れられますか?

入れられます。東京都の案内サインの指針は、日本語と英語の2言語とピクトグラムを基本にし、まちなかの観光案内の地図では、凡例を日本語・英語・中国語・韓国語の4言語にしています。全部の文字を4言語にすると1つの文字が小さくなるので、見出しと凡例を多言語にし、部屋の名前は日本語と英語にする、といった分け方をします。

1つの階や1枚だけでも頼めますか?

頼めます。ただ、館内全体の呼び名や色のルールを先に決めておくと、あとでほかの階を作るときにデザインがそろいます。1枚だけの場合も、今のサインの写真があれば、書体や色を合わせて作れます。

同じ館内図を、紙のリーフレットにも使えますか?

使えます。もとになる館内図を1枚作っておけば、壁のフロアガイド、避難経路図、受付で渡すリーフレットを、同じ図から作り分けられます。CUVIC大阪は看板だけでなく、屋内サインやポスター・チラシのデザインにも対応しています。

営業中の施設でも取り付けられますか?期間はどのくらいですか?

CUVIC大阪は、夜間・早朝・土日祝の工事にも、できる限りご希望の日程で対応しています。製作から取り付けまでは、イラストレーターの完全データがあれば実働7〜10日ほど、デザインから作る場合は実働14日からが目安です(CUVICの目安。修正が多いと延びます)。サイン計画から始める場合は、その前に調査と配置図の期間が加わります。

避難経路図からフロアの案内サインまで、館内サインはデザインからご相談ください

CUVIC大阪は、案内サインや誘導サインなどの屋内サインも、デザインの制作から製作・取り付けまでお受けしています。各階のフロアガイド・館内マップ、避難経路図、室名札・ピクト、階数表示、床やガラスのサインも、まとめてご相談いただけます。平面図と今のサインの写真、掲示したい場所を送っていただければ、お見積もりをお出しします。お問い合わせフォームでは、ご相談内容に「屋内サイン」を選んでください。製作だけのご依頼も大歓迎で、取り付けは全国対応です。お見積もりは無料です。

0120-944-599受付時間:平日 9:00〜17:00(土日祝休み)

参考資料

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